瀬戸氏サイド及び潮田氏サイドのいずれの側面から記載してており、緻密な取材を基に執筆されたのだろう。しかし、瀬戸氏・潮田氏の争いを勧善懲悪物にしようとしている意思があるのか(そのようなストーリーにしなければ売れないという事情もあるのだろう)、潮田氏サイド・会社サイドの行動を少しデフォルメして書いているところもあるように思う。
例えば、本書では、指名委員会の決議の効力について、取締役会を拘束する力がないことを「指名委員会の侮辱」ではないか、との発言を取り上げている。しかし、指名委員会はあくまで「株主総会に提出する取締役の選任及び解任に関する議案の内容を決定する」(会社法404条1項)のであり、本件のようなCEO(会社法上の代表執行役)の退任に関する決議については、指名委員会の決定は取締役会に対して効力を及ぼさない。会社法を齧った人間からすると、これは違和感のない結論であるのであるが、「指名委員会の侮辱」という言葉を使い、あたかも会社側が理にかなわないことをしているように読者をミスリードしているようにも思える。
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