さて、大阪地裁が立法裁量の中で何を論じているかというと、
- ①法律婚の配偶者間の法的権利義務等は、事実婚のパートナー間の法的権利義務等と異なるが、事実婚のパートナーも当事者間の合意で、一定の範囲においては、同様の法的権利義務等を実現できる
- ②そうだとしても、法律婚により生じる公認に係る利益(社会的に夫婦と認められる利益)については同性婚を法律化しない限り同性愛者は教授できない。
- ③しかし、公認に係る利益を認めるための法的枠組みについては同性婚を異性婚と法律上同じ扱いにしたり、(現在は地方自治体レベルで認めれている)パートナー制度を法律上も認めたりと、様々な方式があり、この点について国民的議論が十分ではない。どのような制度が適切であるかについては、国の伝統や国民感情を含めた社会状況における種々の要因を踏まえて民主的過程においてきめられるべきものである。
これらを総合的に考慮すると、同性婚を認めない法律等は立法裁量を逸脱していない(=同性婚を認めない法律等は合憲)と判断している。話があっちこっちにいって少し分かりづらいが、①と③については合憲方向(同性婚を認めなくてもよい)の要素で、②については違憲方向(同性婚を認めるべき)の要素である。では、これをどう評価するか?